This month's music.
Michele Manzo / Lonely Horizon
80sの香り漂うジャケットデザインと、その期待を裏切らない眩いアーバン・ファンク。
イタリアで活動するマルチ・インストゥルメンタリストMichele Manzoによる1stアルバム。
ドラムマシーンやシンセ音で80年代を表現しつつ、女性ヴォーカルやラッパーをフィーチャーしたトラックを配置して現在形へアップデート。ローファイ・チルポップの世界総本山、カナダのInner Oceanのリリースとしては異色作でありながら、やはりかなりの洗練度。最近、UKソウルの名シンガーOmarと共演したというエピソードにも納得。
Sadiva / Minutes
先頃来日を果たしたオーストラリアはメルボルンの女性ビートメイカーSadiva。
ジャパンカルチャーに対する敬愛を反映したポップなジャケットデザイン。ソウル、ファンク、ジャズと並列で、日本の演歌までサンプリングしてしまうセンス。自分の大好きなものでマイワールドを作ってしまう奔放さが、メロウなトラックの中で静かに躍動する今作。
Hip Hop以外の文化から強く影響を受けているビートメイカーの台頭著しい昨今。どこまでも自由でチャーミングなSadivaはその象徴。
Soryo / Daily Frequencies
パリで活動するSoryoは、MadMonkの名前でも作品を発表しているビートメイカー。
同地のレーベルOrikami Recordsのコンピレーション「Orikami & Feels」や、カナダのInner Oceanによる「Futures Vol.5」にもフィーチャーされていた逸材で、今作は初となる単独作。
彼もまたジャズのサンプリングを素材としているものの、その音世界は遊び心に溢れている。
タップダンスのような軽妙なビートやヒューマンビートボックスを合わせてみたり、エレクトロニックなSEを被せたり。なんかエスプリが効いている。
ビクターMKⅡ / Omoide
フィリピン人ビートメイカーのビクターMKⅡ。
日本のアニメーションから強い影響を受けた彼は、ビートテープという形態で自己表現をする注目の逸材。
「Omoide(思い出)」と題する今作。オルゴールのように繰り返すノスタルジックなトラック。とろけるようなビート。所々で挿入される女の子たちのセリフ。学生時代の実ることのなかった淡い恋愛を回想する物語は、まるでかつてのラジオドラマのような空気感。
ビートテープという表現手法がHip Hopの外側で急拡大していることを改めて実感させられる、とてつもなくナードな衝撃作。
Carlos Niño & Friends / Live At The World Stage
US西海岸の現代音楽シーンにおける最重要人物の一人であり、またコンポーザー、プロデューサー、アレンジャー、DJとしても世界中からその手腕を求められる才人 Carlos Niño。
今作は昨年10月にLAのアートスペース「The World Stage」で行われたライヴ音源。
会場全体をスピリチュアルな空気で覆う、6人編成による圧巻のインプロヴィゼーション。Carlosの鳴らすベルやシンバル、ゴングに加え、余りにも美しく幻想的な響きを持った音の数々が舞い、生命力をもってオーディエンスの心に沁み込む。
暑い日が続きますが、休憩がてらお気軽にお立ち寄りください。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。