続 CONCETTO 2023AW
CONCETTO : TIELOCKEN COAT (WORSTED WOOL / COTTON GABARDINE) / ¥165,000-
参考元は60’S バーバリーのタイロッケンコート(前期型)。
もう皆様お馴染みかも知れませんが、ホック付きの大ぶりな襟にベルトの8カン、表側はシンプルに完成された佇まいが魅力的。
反面、内部には錨ホックの内掛けや貫通ポケット、大容量のマガジンポケット。
この辺りのディテールも抜かりありません。
マガジンポケットに関しては、雑誌や新聞が入る為という説が有力ですが、雑誌(magazine)ではなく弾倉(magazine)から来ているのではないかという考察もされていて面白いなあと。
歴史のある洋服は様々な解釈があって楽しいですよね。
生地はオリジナルのウール65% / コットン35%のギャバジン。
諸説ある様ですが、ギャバジンの発祥がウールコットン、というところに原点回帰しこの組成で。
経糸をトープ、緯糸をグレーで織り上げる事で奥行きのある色合いで、経糸の密度を限界まで詰める事により、縦に綺麗な落ち感が出ます。
綾目はサンイチと呼ばれる綾で、経糸が緯糸に対し3本上 : 1本下と交差し、表には主に経糸の色が、裏には主に緯糸の色が出ます。(裏面は裏地が付くので殆ど見えませんが…。)
ディテールは「ザ」なタイロッケンコートですが、何より形が秀逸。
日本人の体型に合わせて若干前肩、前振りの袖付けに。
そして腕を下ろしたときに発生する一枚袖の余り方を調整、必要な運動量を確保しつつ、変に余り過ぎない非常に綺麗な袖です。
また肩傾斜をなで肩気味に設定し、着ると首の付け根あたりを重心に重さが分散されるので、手に持った感覚よりも軽快な着心地。
このあたりはパターンの妙でしょうか。
実際に着た時に実感していただけると思います。
縫製はサンヨーソーイングの青森ファクトリー。
日本でも非常に珍しいコート専業の工場(恐らくここ位しか無いです)で、ギャバジン系のコートを縫ったら日本一と言っても過言ではないほど。
襟にはフラシ芯を入れ、自然に落ち着きのいい形に。
襟裏部分、台襟と裏地の付けは手縫いで、着た時の柔らかさや首周りのフィット感の良さに一役買っています。
また、貫通ポケット裏の口布と裏地も手縫い。
表地と裏地がずれ易い箇所ですが、荒断ちして最後に手で調整することで非常に綺麗に収まっています。
…と、こんな感じで色々と語りどころが多いコートではありますが、ハイクオリティ且つ王道的な形なので、あまり流行関係無く楽しんでいただけたらと思います。
皆様の定番として、気に入っていただけたら嬉しいです。
皆様のご来店を心よりお待ちしております。